介護事故・虐待事故・苦情クレーム対応と施設のリスクマネジメント

2016年7月13日に行われた施設マネジメント月例セミナーVol.1「介護事故・虐待事故・苦情クレーム対応と施設のリスクマネジメント」のレポートをお届けいたします。(このレポートはPDFでもご覧いただけます)

【第一部】クレーム対応・事故対応と施設のリスクマネジメント

■施設虐待防止対策と事故トラブル防止対策

前半は最近起こった施設の事件の事例を元に山田氏がリスクマネジメントを紐解きました。

施設虐待防止対策編では、経営者・管理者の当事者意識・コンプライアンス意識の欠如、職員の認識の甘さ、厚労省や自治体の認識の甘さがあります。また利用者家族に対しては事故で利用者が亡くなっても許してくれる家族はいるが、虐待されたことを許してくれる家族はいない、認識がずれていることをまずは認識することが重要です。

厚労省が提唱する施設の虐待防止策は的外れで、施設職員には利用者の虐待は刑事犯罪であるということを認識させることがまず必要です。

虐待に至るには3つのパターンが存在し、虐待を防止するためには業務手順や組織体制の構築、職員の行動パターンの明確化、マネジメントの強化など職員全員で取り組むべき内容も多々あります。

事故トラブル防止対策編では、「家族対応を怠る」「事故の備えがない」といった施設側の問題点を指摘。介護の現場ではもともとトラブルになりやすい事故があるため、トラブルを防ぐためには事故後の家族対応マニュアルが必要となります。

また、小さな事故が大きなトラブルになる理由は、事故を把握しトラブルの要因を分析していない、事故への対応が手順化されていない、管理者の役割分担が出来ていないことが考えられます。 

【第二部】質疑応答トークセッション

後半は山田講師と高室によるトークセッションが行われました。セミナー参加者からの質問に対して山田氏と高室が本音で答えました。

冒頭、高室から介護の現場で働く人の意識変化について質問があり、山田氏からは他業界からの転職してきた「介護業界を全く知らない」「素養がない」が多くなってきたことを問題として挙げます。能力の高低も重要だが、他業界からの転職者には介護職の素養を見極めることが重要であると指摘します。

その後、参加者の方からは「入居者本人により装飾品が壊され、家族からはそんな行動はしないと言われた時はどう対応すべきか」「身体拘束でベッド柵を4本から2本にした後、目を離したすきにベッドから落ちて利用者が亡くなられた際の対応」「利用者に痣ができ、職員に叩かれたと家族から訴えがあった。適切な対応は」など具体的な質問が寄せられました。

最後に高室から利用者家族の変化について質問があり、山田氏からはこれから増えるであろう介護経験のない家族への対応が重要であるとの指摘がありました。


次回の施設マネジメントセミナーは下記の日程で行います。

8月18日(金)13:30~
「2016年度診療報酬改定が介護施設に与える影響と医療機関との連携」

こちらからぜひお申し込みください。